弱者のためのボン教ゾクチェン瞑想

シャンシュン・ニェンギュの教え

ヨンジン・リンポチェからのアドバイス 2020年8月9日

ゾクチェンの教えを日本で伝授している箱寺です。ゾクチェンの教えやチベット瞑想について執筆しています。よろしくお願いいたします。

 

昨晩(8月9日)の「ゾクチェン21の釘」のオンライン伝授の中で、僧院長テンパ・ユンドゥン師が私たちにうれしいサプライズをプレゼントしてくださいました。私たちの根本のラマであるヨンジン・テンジン・ナムダク・リンポチェがZOOMを通じて、世界中の弟子や生徒に向けてアドバイスを与えてくれたのです。

 

そのアドバイスを私たちのボン教仲間であるキャロルとディマ夫妻が、文字お越ししてくれました。その内容を私が日本語訳し、このブログに掲載しました。あなたの毎日のゾクチェンの学びや瞑想に役立ててください。

 

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ヨンジン・テンジン・ナムダク・リンポチェ

 

以下、ヨンジン・リンポチェからのアドバイス 2020年8月9日


 これまで私は何年もかけて教えを説いてきた。そして、いつでもグル・ヨーガの教えを伝授してきた。なぜならば、グル・ヨーガは本当に私たちが修行を進めていく上で基礎になるからだ。だから、この機会にもグル・ヨーガの重要性について、あなたたちに話しておこうと思う。


 グル・ヨーガは瞑想する人たちにとって極めて重要な教えだ。だが、グル・ヨーガを修行した結果、何かが見えたり、何かが聞こえたりするとは思わないで欲しい。グル・ヨーガの修行をするとき、あなたたちはタピリツァや他の尊格を目の前に思い浮かべるだろう。そのとき、思い浮かべる対象をある尊格から他の尊格へと次々に変えないで欲しい。同じ尊格をはっきりと心に思い浮かべながら、修行し続けることがいつでも重要なのだ。

 
 混じりけのない気持ちでグル・ヨーガをおこない、信心と帰依の気持ちを持つようにしなさい。このことを心に置き、信心を養うことだ。信心とは信じる気持ちのことだ。いつでも、このことを忘れないようにしなさい。

 
 正しいやり方でグル・ヨーガをおこなえば、その結果として、修行すること、教えを授かることに喜びを感じ、その教えにしたがって生きていくようになるだろう。つまり、より教えに興味が湧き、修行に身が入るようになるということだ。グル・ヨーガを続けていくと、こうした結果が得られからね。

 

 グル・ヨーガの瞑想をしているとしても、何か変わったものが見えたりするなどと期待しないこと。瞑想中にいろいろなものが見えたことがあったかもしれないが、「何かが見えてきますように」とか、「何かが聞こえてきますように」だとか思わないこと。信じる気持ちが強くなればなるほど、教えに対する興味が深まり、修行もますます上達する。これが修行の成果だ。こうした結果が得られるからこそ、何よりもグル・ヨーガが重要だということなのだ。

 
 毎日欠かさずグル・ヨーガの瞑想をしてみなさい。そのために特別な場所を用意する必要もなければ、特別な日時を選ぶ必要もない。

 
 次に説いておきたいことは、ゾクチェン瞑想をすることの重要性だ。瞑想の教えは数えきれないほど多く存在する。だが、私たちが暮らす現代では、ゾクチェン瞑想をおこなうのがいいだろう。それも特に、「シャンシュン・ニェンギュ」の教えで説かれているゾクチェンだ。「シャンシュン・ニェンギュ」は私たちが伝承する永遠なるボン教のエッセンスであり、その中心の教えだ。

 
 このところ何日もかけて、あなたたちは僧院長テンパ・ユンドゥン師から「21の釘」の教えを授かってきたはずだ。伝授と言ったとき、オンラインの法話会に参加し、上手に瞑想のポーズで座り、まわりをキョロキョロ見たりすることではない。それだけでは本当の伝授にはならない。伝授を完成させるためには、説かれた教えを信じなければならない。本然の境地に心を委ねるということだ。それがみなさんの誰にとっても大切なことだ。

 

 他の考えに惑わされないこと。瞑想するためにどこか他の場所を探さないこと。外に出て他の場所に行く必要もないし、そもそもこのコロナウィルスの問題が起きている今はそんなことはできない話だ。

 
 いつだって、心の本性はあなたの本当の姿だ。心の本性があなたから離れることなどまるでない。心の本性はいつでも清浄で、あなたのすぐそばにある。瞑想して、経典に記述されているままの本然の境地をありありと体験することができたら、もう「ゾクチェン」なんて名前にしがみつかないことだ。

 

 ゾクチェンを自分自身で体験し、自分の心の姿を解き明かしなさい。ゾクチェンの教えを授かり、本然の境地に間違いなく出会い、少しでも修行を続けることができたら、それは本当に何ものにも代え難い幸福なのだ。

 

 最後に繰り返し伝えておきたいことは、グル・ヨーガをおこない、できるだけ修行を続け、本然の境地に留まることだ。他のことを追い求めないこと。あれこれ他の考えに惑わされたり、他のことに手を出したりしないこと。


 本然の境地はあなたの本当の姿だから、あなたたちから遥か遠く離れたものではない。それはあなた自身の本当の姿なのだ。本然の境地に親しみ、その修行をすること。本然の境地は決してあなたから離れたりしない。生きているときも、死んだあとでも、いつでもあなたと一緒にいる。

 

 あなたたちが気にかけているか気にかけていないかに関わらず、本然の境地はあなたたちと共にある。正しく本然の境地を理解することが、とても重要だ。さもなければ、本然の境地は単なる名前だけになってしまう。

 

 今日、人々はさまざまな種類の瞑想について語り合う。瞑想という言葉はごく普通の言葉になった。また、トゥガルといった特殊な瞑想用語もよく語られる。瞑想に関する専門用語は本当に多種多彩に存在する。ときには、心の姿などを探し出す必要があると、語ることもある。だが、何よりも重要なのは、いつでも修行を続けること。何年もの長い時間の中で、このことを繰り返し私はあなたたちに説いてきたのだから、みなさんにはこのことに気をつけて、忘れないで欲しい。私が話したかったこととはこのことだ。


 多くの人々に、毎日どんな修行をしたらいいのかとよく尋ねられることがある。だが、何か目新しいことを言うつもりはない。毎朝、昼時、午後や食事をしているとき、そんなに時間はかからないから、できるだけグル・ヨーガをしたり、本然の境地に留まり続けたりすることだ。


 他のことを考えたり、正しい瞑想になっているかどうか心配したりしないこと。おそらく、僧院長がすでにzoomの法話の中で同じことを説いているはずだ。ときどき、「パット」と大声を出したり、強く息を吐き出したりして、本然の境地がどんな姿をしていたか確認してみるといいだろう。本然の境地があらわれたら、あとは何も変えたりしないこと。何が起きても、ただありのままにしておくこと。瞑想に自信が持てなくなったら、この二つの方法を試してみるといい。

 
 何もしていなくても、思考は湧いてくる。だが、思考を止めないこと。思考のあとを追わないこと。ただ、そっとしておくこと。そうすれば、また思考が自発的に湧いてきても、しばらく留まったあと、勝手に消えていくだろう。思考は湧いてきて、しばらく留まり、そして消えていく。このどのプロセスもあなたの心の本性について教えてくれる。

 

 意識の働きから離れること。思考を止めようとしないこと。思考を止める必要はない。思考を止めず、思考のあとを追わず、ただありのままにしておけばいい。そうすれば、思考があらわれたり、しばらく留まったりしても、やがて消えてゆく。

 

 思考が消え去れば、あとは何も変化しなくなる。そして、ありのままにしておくこと。そこにあらわれてくるのが心の本性だ。このことをいつでも覚えておくことだ。


 いろいろと疑問が湧いてくることもあるだろう。もしも、何かわからないことがあったら、本然の境地を体験しているラマたちに質問してみるといい。今の私にはあなたたちに多くを語る時間もないし、質問に答える時間もないからね。

 
いいだろうね!


 瞑想するために、特別な場所を用意する必要はない。このコロナウィルス問題の中、そもそも移動したり旅行に出かけたりするための交通手段も得られない。だから、私たちはまるで家の中に拘束されているような状態だ!

 

 カトマンズにあるボン教僧院に住んでいる私たち自身、僧院の敷地内を歩くことはできても、僧院の山門から外に出て行くことはできない状態だ。いつも僧院の中に閉じ籠っている。この状況は短時間だけというわけではなく、何カ月間も続いている。

 

 だが、私たちはクヨクヨしていない。あなたたちも「牢獄」に閉じ籠るように、自宅でジッとしていた方がいいだろう。毎日何千人もの人々が病にかかり、命を落としている。本当にこの疫病は厄介だ。どうぞ、お元気で!

わかったかい? 

 

以上、終わり。

 

 

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