ゾクチェンのブログへようこそ。日本でゾクチェンの教えを伝授している箱寺です。ゾクチェンの教えやチベット瞑想について執筆しています。よろしくお願いいたします。
2021年2月12日はチベットのお正月(ロサール)でした。私たちの根本のラマであるヨンジン・リンポチェから世界中のボン教仲間に向けて、新年のメッセージが配信されました。編者のディミトリ―氏のご厚意により、英訳の原稿を手に入れることができたので、ここに日本語訳を掲載します。ボン教に縁のある方々に、特にご覧いただきたいと思います。
世界中のボン教グループに向けて、ヨンジン・リンポチェから2021年鉄象年の新年のメッセージ。
「今日は鉄象(牛)の新年です。私はすべての友人たちとチベット人、とくに永遠なるボン教と縁のある方々に「タシデレ(おめでとうございます)」という言葉を贈ります。あなたがチベット人でも外国人でも、永遠なるボン教と縁のある方ならどなたにでも、特別なお祝いの言葉を贈ります。
今年は、多くの点でいつもとは異なります。永遠なるボン教の歴史によれば、チベット新年(ロサール)は昨月でした。チベット政府によれば、新年は今月になります。今月の新年は誰もが祝うお正月です。すべてのチベット人がこのお正月をお祝いしています。しかし、上チベット、下チベット、中央チベット、西チベットといった地域に住む多くのチベット人たちが先月、新年のお祝いを済ませています。しかし、一般的には今月がチベット歴の一月だと呼ばれていて、誰もがお祝いをし、幸せで楽しい気持ちです。
今年は多くの国々、世界中で多くの問題に直面しています。どこでも経済問題やコロナウィルスの問題を抱えている。コロナウィルスは世界中で大問題の原因になっている。コロナウィルスは人々を不安に陥れ、経済に悪い影響を与えている。あらゆる種類の大問題を引き起こしている。誰もが動揺して、心配になっている。
私たちが修行しているのは功徳の高いブッダの教えだ。そして、三宝(仏・法・僧)に帰依している。こうして、私たちは最善を尽くしている。しかし、あまり能力がない人もいれば、優れた能力を持っている人もいる。この世で何が起こるのか、私たちにはわからない。未来がどうなるのかも誰にもわからない。この世が生存に適さなくなるかもしれない。
一劫の間には、世界が創成される成劫、世界が存続する住劫、世界が消滅する壊劫がやってくる。これら三つの時代は段階的にあらわれては消えていく。どのようにしてこれらの段階が変遷するのか、誰にも分らない。今起こっている問題の兆しや特徴については、誰でも見て取ることができる。しかし、人々がどんなことを言っていても問題の解決にはならないし、あなたがそれを信じていようとも信じていなくても問題の本質には変わりがない。これは避けられないことだ。こうした問題から目を逸らすことはできない。
誰か他の人に文句を言うことも役立たずだし、非難することもできない。こうした問題は、なりゆきで現れてきたものだ。森羅万象は因果律に支配されていて、あなたのカルマから立ち現れてくる。
永遠なるボン教と縁がある人、サマヤ戒を守る人、法友の人、そして永遠なるボン教の一般的なサマヤ戒を守る人々のために、こうしたことがさまざまな経典に書かれている。私はすでに、永遠なるボン教の経典に書かれていることはすべて、その教えを説いてきた。あなたもすでにこうした教えに接したことがあるはずだろう。確かにこうした教えを聞いたことがあると、あなたは言うかもしれない。しかし、耳で聞くだけでは不十分だ。その教えを無駄にしないで欲しい。これが、あなたたち全員に対する私からの頼みだ。
これからの未来どんな問題が起こるのかわからない。数えきれないほどの問題、想像も及ばない問題が起こることだろう。しかし、あなたの個人的な問題としては、生まれる苦しみ、老いる苦しみ、病の苦しみ、死に直面する苦しみの四つを体験することだ。
これらの苦しみから逃れる術はない。誰もがこれら四苦をこうむる。
ブッダはすでに教えを修行するメリットについて完全に説いている。ブッダの言葉だけが信頼に値し、他のことはあてにならない。お金や財産や富といったものにより運命が好転するわけではない。あなたがどんなに優秀で、どんなにお金持ちで、どんなに有名だったとしても、そんなことは問題にならない。誰もが死ななければならないからだ。死を避けることなどできはしない。
死後、どんな体験があなたを待っているのかはカルマに左右される。あなたはカルマの因果律に従わなければならない。あなたにどれほどの財産や名声があったとしても、あなたがどれほど強い力を持っていたとしても、死に際しては何の役にも立たない。
だから、いままであなたに伝授されてきたどんな教えも、これからも忘れないようにしなさい。それが私の願いなのだ。生徒や弟子の皆さんはそのことを心に留めておくこと。まちがいなく、そうしてみることだ。
最近では、コンピューターなどの機器を使ってあなたに話をすることがある。こうした新しい方法で、あなたは私の教えに耳を傾けることができる。そうした教えを心に留めなさい。だが、教えに耳を傾けるだけでは不十分だ。そうした教えを心に留めなさい。私があなたにそうしてもらいたいのはなぜだと思いますか?それは、あなたのためになるからです。これは慈悲の気持ちからの言葉なのです。
誰もが、生老病死の苦しみに直面する。そうした苦しみを解消するためには、ブッダは教えを説いたのだ。こうした苦しみを解決できるのはブッダの教えだけだ。ブッダが教えを説いたのはそのためだけではない。今日ではたくさんの人々が、ブッダの教えは恵みをもたらすと語っている。一方で、ブッダの教えには害しかないと言う人もいる。しかし、そんなことを議論しても始まらない。なぜならば、ブッダの教えは生きとし生けるものを助けるためのものだからだ。
「私は学者だ。彼も学者だ」という人々もいる。そんなことを議論しても何も始まらない。なぜならば、カルマを変えられる人は誰もいないからだ。注意することだ。永遠なるボン教のサマヤ戒を丁寧に守ることだ。あなたはこれまで、どう生きるべきか、どう考えるべきか、どう瞑想すべきか、どんな見解を取るべきかといった教えを伝授されてきたはずだ。どんな教えも無駄にしないようにして欲しい。
教えを投げ出したり、わきに追いやったりしないで欲しい。心の中に留めておくことだ。ただ言葉を追うのではなく、心でその意味を噛みしめて欲しい。そして、できる限り修行をすることだ。修行があなたに恵みをもたらすはずだからね。これが、私があなたに望んでいることだ。
私はすでに年老いている。新しく他にあなたに説くべきことなど何もない。若いラマや若いゲシェ(仏教博士)たちは、あなたを助けるために全力を尽くしてくれている。こうした教えをすべて忘れないように。
ありがとう。タシデレ。新年おめでとう」
口述筆記 ゲシェ・テンジン・ジンパ
口述翻訳 瞑想学堂長ツルティム・テンジン
編集 キャロル・エルマコヴァとデミトリ―・エルマコフ
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