三宝に帰依します。
ここ数日、『天路の旅人』を読んでいました。この本は、西川一三の波乱万丈な冒険記です。西川一三は、1945に鎖国下のチベットのラサに潜入した日本人です。
前半のモンゴルからチベットに到達する苦難な旅路は、読んでいて意外と単調で、何度も投げ出してしまおうかと思ったほどです。旅の途中、縫い針を仕入れて、ゆく先々で販売したところ、飛ぶように売れたとあります。昔、チベットでは縫い針は貴重品だったそうです。
ラサでは仏教僧院のデプン寺のラマに入門します。イシェというラマで、仏教修行を始めることに躊躇していた西川に、「学問がないから、金がないからといって、仏道の修行ができないなどということはない。誰だって最初は無学というところから始めるのだ」と説きます。
西川が入門したときに困らないようにと、「一着の僧服とデプン寺で暮らすための最低限の所帯道具を遺言で残して」くれたラマもいたとか。いつものことですが、チベット人ラマの思いやりには、胸が熱くなります。
また本書の中では、インド人の宗教心についても描かれています。インド人はヒンドゥー、仏教、キリスト教など垣根を設けずに、あらゆる宗教者に敬意を持つ人が少なくありません。インド人のもつ宗教に対する寛容性には、驚くことがよくあります。
本書では、ラサ滞在中の話と、インド巡礼の話が特に目を引きます。気がついたら夢中になって読んでいました。該当する部分だけ読むのもいいと思います。
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