弱者のためのボン教ゾクチェン瞑想

シャンシュン・ニェンギュの教え

天を越える旅人

ゾクチェンの教えを日本で伝授している箱寺です。ゾクチェンの教えやチベット瞑想について執筆しています。よろしくお願いいたします。

 

 

2月29日のブログで日本語表記の問題について書きました。いつもどこからも反応がないこのブログですが、その投稿には二件の心優しいメールをいただきました。またSNSでは尊敬する翻訳家の先生からアドバイスをいただきました。

bondzogchen.hatenablog.com

 

 

こうした励ましのメールやアドバイスをいただくと、とてもうれしくなります。読者の反応やワークショップの感想をいただくと、やる気スイッチが入ります。おかげさまで今後しばらくのあいだの日本語表記の問題にめどが立ちそうです。ありがとうございます。しかし日本語表記の問題は、翻訳を続けていくうえで永遠の問題です。

 

 

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天を越える旅人

 

 

気分転換に○○市の図書館の蔵書を「チベット」をキーワードに検索したところ、「天を越える旅人」という書籍が当たりました。今まで知らなかった書籍なのでちょっと気になり、最寄りの図書館の分室に取り寄せてみました。

 

 

この本はチベットチベット仏教をテーマとした小説。軽い気持ちで数ページ読み進めてみると、「おっとと」と気になる言葉が二つ出てきました。「ヨンドンラマ」と「ミグマ」です。ミグマというのは主人公であるチベット仏教古派(ニンマ派)の見習い僧。「ヨンドンラマ」というのはミグマの親代わりの指導僧。

 

 

「ヨンドンラマ」??この言葉にピンときました!これはおそらく「ユンドゥンラマ」のことを指していると思いました。ユンドゥンという名前の持ち主はまず間違いなく、ボン教徒。じつはチベットをテーマとした物語や映画などに、たま~に「ユンドゥン」という名の人物が登場します。

 

 

「おぉ、こんなところでお仲間さんが活躍している」と口元が緩みます。しかし驚くほどのことはありません。それもそのはず。チベット人の約一割(10パーセント)強はボン教徒だと言われているからです。

 

 

それはそれでかまわないのですが、問題は「ミグマ」の方です。「う~ん」わたしは目をつむって考え込みました。この表記がもともとどのチベット語を指しているのか思い当たらなかったのです。「ミグマ、ミグマ、ミグマ・・・」。この言葉の原語を言い当てられるでしょうか?

 

 

本文を読み進めていくうちに「ハクパ」や「パサン」という他の登場人物が出てきて、ようやく「ミグマ」の原語を思いつきました!「ハクパ」はチベット語で水曜日、「パサン」は金曜日。な~んだ「ミグマ」は火曜日のことだったのか!チベット人は曜日の名称を名前に用いることがよくあるのです。喉に引っかかった魚の骨が取れたような気持ちです。

 

 

他にもこの本には気になる点があり、「活仏」にゲーゲン(先生)、「智慧」にサンガ(僧団)、「認識」にブッダ(仏)というルビが書かれているのです。意味深なような、いろいろと思いが錯綜しました。「トゥンモ」や「ミラレパ」なんて言葉もちょっと出てきています。

 

 

奥付を見ると1997年4月の出版。私がカトマンズで加行に励んでいたころだ。たぶんマンダラ供養の修行をしていた頃。私がこの本のことを知らないはずだ。著書は青年海外協力隊としてネパールに滞在していたとのこと。ネパールならボン教徒がたくさんいるから、「ユンドゥン(ヨンドン)」という名前の人に出会う確率も高い。

 

 

こんな風に相変わらずチベット語表記のことばかりを考えながら、この物語を半分ほど読み終えています。肝心のストーリーですが、なかなか面白いですよ~。チベット語表記の問題にも目途がついたし、翻訳作業の合間の息抜きに最後まで読んでしまいそう。

 

 

それではまた!

 

 

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