弱者のためのボン教ゾクチェン瞑想

シャンシュン・ニェンギュの教え

無調身・無調息・無調心

ゾクチェンの教えを日本で伝授している箱寺です。ゾクチェンの教えやチベット瞑想について執筆しています。よろしくお願いいたします。

 

 

私は禅の教えが大好きです。難しい話を乗り越えて、まず直接体験するというすがすがしさを感じるからです。といってもこの直接体験というのは、なかなか簡単にはいかないことだとは思いますが・・・。ただ、難しいお勉強のお話だけっていうのは、もう勘弁願いたいと常々思っています。

 

 

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モンゴルのゲル(テント)

 

 

ここ数日、禅の本を読んでいます。とても興味深いです。今読んでいる禅の本に気になるキーワードが登場しました。それが「調身・調息・調心」です。坐禅をするとき、「身体(座法)を調えて、呼吸を調えれば、心も調う」という意味だそうです。

 

 

このキーワードを発見して、かなり安心しました!今までチベット語のお経を訳していく中で、「この訳語で大丈夫かな~」と悩みに悩んでいた言葉があります。その悩みが解消されました!ゾクチェンのお経にも、これと似た言葉が登場しているのです。

 

 

それはチベット語の「བཅོས(bcod:チュー)」という言葉です。この「チュー」という言葉、ゾクチェン経典に頻出します。チベット語-英語辞典を調べてみると、fabricateとか、make upと英語で訳されているのが分かります。どちらも、「有作為」とか「念入りにする」とか「手の込んだ」といったニュアンスになります。

 

 

なるほど意味は分かった。問題はなんて日本語に訳すかです。私はいつでもなるべく現代人にわかりやすい言葉を選んで翻訳しています。そこでこの「チュー」という言葉は、「調整」ぐらいがいいと思い、今まで「調整」という言葉を訳語に充てていたのです。

 

 

しかし、「調整」という訳語で本当にいいのだろうかと、いつも心の隅で不安に思っていました。ところが、冒頭に書いたように「調身・調息・調心」という言葉が禅宗にあるのならば、まさにぴったりの訳語だと思ったのです。「ふぅ~」。少し肩の荷が下りました。

 

 

ちなみに実際のゾクチェン経典の中では、「無調整(m bcod pa:མ་བཅོས་པ)」という言葉で使用されています。「無調整」とは、特に何もしないこと。または、思考のあとを追わないことです。

 

 

つまりゾクチェンの教えでは、「身体を調えることから離れ、息を調えることから離れ、心を調えることから離れる」ように説かれているのです。ざっくり言うと「何もかも忘れてしまいなさい」という意味です。

 

 

「無調整が最優の調整」(མ་བཅོས་པ་བཅོས་ཀྱི་མཆོགག)マチューパ・チューキチョック)というフレーズが、経典『ゾクチェン・シャンシュン・ニェンギュ』の教えに頻繁に登場するのです。ゾクチェン瞑想を実践する上での、エッセンスの言葉です。今日も一日、私はチベット語の訳語のことばかり考えて生活しています。

 

 

それではまた!

 

 

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