ゾクチェンの教えを日本で伝授している箱寺です。ゾクチェンの教えやチベット瞑想について執筆しています。よろしくお願いいたします。
私たちがボン教の教えを学んだり勉強するのは、揺るぎない幸せを手に入れるためです。もちろん、毎日瞑想するのもそのためです。完全な幸せを手に入れ、心を完成させた姿のことを、ブッダと呼びます。
この「ブッダ」という言葉。もともとは古代インドの言語であるサンスクリット語の言葉です。一方、チベット語ではブッダのことを「サンゲー」といいます。この「サンゲー」という言葉ですが、とても興味深い由来をしているのを、あなたはご存知ですか?
「ブッダ」を指し示すチベット語の「サンゲー」は、ボン教でもチベット仏教でもごくごく一般的に用いられます。でもこの言葉、ちょっと不思議なのです。
サンスクリット語の「ブッダ」はとても有名な言葉で、あなたも中学校や高校でその意味を習ったと思いますし、仏教の本を読めば最初に意味が説明されています。その意味とは「目覚めた人」。
ところが「サンゲー」には「目覚めた人」という意味はありません!「サン」は「浄化」、「ゲー」は発達を意味します。つまりサンスクリット語のブッダとは、似ても似つかない意味なのです。
さしずめ、「サンゲー」とは「穢れを浄化」して「智慧を発達させた」人物といった意味になるでしょう。しかし、これは大問題です。なぜならば、「ブッダ」と「サンゲー」は根本的に意味が異なるからです!
同じブッダでも、インド人の考えるブッダと、チベット人の考えるブッダはまったく異なる中身なのです。つまり、ブッダの中身がちがうということです。
実はこのことは、私がチベット語を学び始めた頃から疑問に思っていたことです。あれから20年以上のとき月が経過し、その理由がわかりました。
どうやら「サンゲー」とは、もともとボン教徒たちが使っていた言葉だったようです。つまり、ボン教用語なのです。八世紀に仏教をチベットに導入するときに、このボン教用語をチベット仏教が導入したようなのです。それ以来、チベット仏教のお経には「サンゲー」という言葉が並ぶようになりました。
この事実は、今まで原始宗教だとみなされていたボン教観を根底から考え直さなければならないキッカケになるかも知れません。また他にもチベット仏教に採用されたボン教用語が多数存在するようです。チベット文化を知るためには、ボン教を知る必要があります。
それではまた!
コロナウイルス感染予防のため、ボン教ゾクチェンのちいさな瞑想教室は5月末までお休みをいただきます。それまでのあいだ、有料のオンライン教室をぜひご利用ください。ご理解とご協力をお願いします。